「……これからできる保証なんて、何処にもない」




静かに俺は言う。




「……そう、かもな。でも、いつまでも何も出来ないままなのは、気分が悪いだろ?






努力しようぜ、できるように。……たとえ出来なくても、今が楽しいと思えるように」







朔は屈託もなく笑った。






「……楽しいと思える日なんて、来ねぇよ」






「ハー」



俺がそう言うと、朔はため息を吐いた。





「……あのさ、今まで散々辛かったんだんだし、お前もう少し我儘言ってもいいんじゃねぇの?





幸せになりたいとか、あれが欲しいとかさ、全部与えられてこなかったんだから……もう少し貪欲になれよ。






もう喰蝶は逮捕されたことだし、……お前を縛る奴らなんて何処にもいないんだからよ」






そんな風に、考えたこともなかった。








「………お、俺は我儘なんて言っちゃ「言っていいよ。――俺達はお前の何もかもを赦すから」