俺は、逃げるように兄さんの病室から出て


病院そのものを後にした。






……帰りたくない。





そう思った俺は、気がつけば電車に乗って
飛鳥街へ向かっていた。




飛鳥街桐谷(アスカガイキリヤ)四丁目……。





事故が起きるあの日まで、俺が家族4人と仲良く暮らしてた世界。





家のあった場所に向かうと、そこには既に新しい家が建っていた。





取り壊された俺の家の面影なんて、何も無い……。





そりゃそうだよな。




俺は泣きそうになるのをこらえ、近くにあった公園に入り、ブランコに座った。