「……は?」




咄嗟に出たのは、疑問符だった。






……兄さんを、養う?





「今暁斗は、無意識で無理してるんだよ。



妖斗、考えてもみろ。10年寝たきりだった暁斗が、なんで呂律が回ってないにしても喋れてるんだ?手足は動かせないのに、なんで口だけ動かせる?なんで舌と喉は機能する?





……あいつが無理矢理動かしてるからだ」






無理矢理……?





俺には、ただ黙って話を聞くことしか出来なかった。







「お前の前だから、無理矢理声もあげてるし、話もしてんだよ。……弟のお前がこれ以上心を傷めないようにな」






直後、鈍器で頭を殴られたみたいな嫌な感触が俺を襲った。





額から大量の冷や汗が流れ出した。





………なんだそれ。





俺は、10年経っても兄さんに守られたままだって言うのかよ……。