俺はグレーの髪を引っ掻き、ベッドから体を起こした。




「優姫さんじゃなくて光輝の実の母親の?」



腕を組み、聖里奈は不思議そうに聞いてくる。


「ああ。……顔は相変わらず分からずじまいだけどな」



ベットから出て、俺はクローゼットからスーツを取り出しながら言った。


「ふーん。それよか、早く支度しないとあたしまで遅刻するわよ、もう7時50分なんだから!!」




マジか。




「はぁ?お前もっと早く起こせよ!」






「起こしたわよ何度も!!」


俺が講義すると、聖里奈は負けじと言い返した。



親のことをそこまで詮索してこないのは、
聖里奈の意図的な優しさなのだろう。




「まぁ、着替えるから出て」




俺はそれに気づいてないふりをして聖里奈を部屋から追い出してスーツに着替えた。