「どうする光輝?墓参りに行くか?」



携帯をポケットにしまった翔太さんは、俺に腕を組んで聞いてきた。






「……まさか。行きませんよ。あの母親は俺を捨てたんです。今更未練も何も無い」





俺は目の前にいた翔太さんから目を逸らし、窓の方を見上げて言った。




「でも光にぃ、……母親に会いたいって」




そこで、妖斗が遠慮がちにそう言った。




「……せっかく庇ったのに死なれてたらたまったもんじゃないと思ってただけだ。あんな親はもう心底どうでもいい。やっと父親とも縁が切れたんだ。せいせいしてるよ。



……それに、今の俺の家族はあいつらじゃない。お前と、翼と、暁斗兄さんと、それに翔太さんと夕姫さんだ」




妖斗の方に向き直り、俺は、自分に言い聞かせるように言った。







そう。







……もういいんだ、何もかも。








俺は、これでやっと晴れて自由の身だ。