コンコン。



病室に、翔太さんが入ってきた。




「よお、光輝。身体は大丈夫か?」





「はいまぁ……足は痛いっすけどね」





俺は折られた太ももを見やり、



自嘲気味に言った。






「……あの、翔太さん、

バイクが……っ」



涙を流した俺を、翔太さんはそっと抱きしめた。


「なぁに、気にするな。また買ってやるよ……」




「すみません……っ。


……翔太さん、俺の母さんは……っ」






母親が好きかと聞かれたら、俺はきっと今なら、NOと言い張れるだろう。




あの母親は、俺を見捨てたんだ。