「あと……どん……くらい……俺寝てた?」





「……10年と3ヶ月だよ」




10年………。




ふと、俺は妖斗の顔が自分の顔より結構高い位置にあることに気づいた。




「ハハ。………これじゃ……どっちが……弟か」




肉なんて一切なくて皮だけと化した
見た目は病的にまで細く、
10年前と変わらず150センチの身長で
20歳の俺と、俺より少しだけ肉付きがあって
170ちょいに、15歳の妖斗。






これ、見た目的には完全に関係性逆転してんじゃねぇか…………。






「――わかるよ、兄さんは何があっても兄さんだから」






直後、妖斗はそう嬉しそうに俺に笑いかけた。




「……俺、今、


……なんも……でき……ねぇよ」







こんなこと言って、俺は妖斗に何を要求してんだ。





手も足もろくに動かせなくて、喋るのすらクソきつくて、少しでも気ぃ抜いたら倒れそうだ。





…………同情して欲しいのか?