「ただいまー」
ビーフシチューを片付けて風呂から出ると、父さんが家に帰ってきた。
「……お帰り、父さん」
バスタオルで髪を吹いていた俺は、
リビングに行ってそう声を掛けた。
「……光輝か。母さんは?」
「……用事があるから遅くなるって」
「グッ!!」
何が起きたのか、一瞬分からなかった。
用事をがあるって言った瞬間、俺は
父さんに腹を蹴られた。
「あんな奴に用事なんかがある訳がないだろう!!浮気したんだよ!母さんは俺とお前を裏切ったんだ!!!」
床に倒れた俺の服の襟を父さんは掴み、耳元で力いっぱいに叫んだ。
……は?
「と、父さん、何言ってんの?
そんなわけないじゃん……すぐ帰ってくるよ」
そうでしょ?、母さん。
「あいつはもう帰ってこない。
なんでかわかるか、光輝。
……お前があいつを庇ったりするからだよ」



