目が覚めたら、俺は自分の部屋のベッドの上で、母さんに膝枕をされていた。
「……か、母さん」
俺は、震えた声をして言った。
「ああ光輝!!よかった、目が覚めて。
本当によかった!!」
母さんは俺をぎゅっと抱きしめた。
「……母さん、父さんは?」
「もう仕事に行ったわ。光輝、もう9時過ぎてるから今日は学校休みなさい。手当はしたけど、お腹まだ痛いでしょ?」
言われたとおり、
殴られた腹は、未だにズキズキと傷んでいた。
「うっ、うん。
……母さんは?ほっぺた大丈夫?」
俺は母さんの赤く腫れた頬に、そっと触れた。
「大丈夫よ。
光輝、貴方が無事で本当によかったわ。
ごめんね、巻き込んで」
母さんの涙が、俺の頬にこぼれ落ちてきた。
「ううん。……俺、守るよ。母さんのこと、父さんから守るから」
俺は、確かにそう言った。
子供が大人を守るなんて、出来るはずもない
誓いを、俺はその日確かにした。



