次に押し寄せてきたのは、圧倒的な絶望感と恐怖感だった。



気を抜いたらものを吐きそうになるから片手で口を抑え、俺はただ親父を見た。





……なんで。






「……ククッ、変わらないな。
背は伸びたが、好みや顔は全然変わってない。昔から、黒とかそういうモノトーン色好きだったよなぁお前。だからこのバイクも黒いんだろう?」




親父は、バイクを蹴りながら醜悪の笑みを浮かべていた。




そうされただけで、俺はキレた。





「……黙れっ、そっからどけよ」


吐き気がマシになった俺は口から手を離して、小さな弱々しい声でそう言った。