鳥肌が立った。
額から流れ出たのは、恐ろしいほどの量の冷や汗だった。
「……っ、親……父……?」
俺は周りにいた女や下っ端達をかき分け、
バイクを停めていた有料駐車場まで移動した。
するとそこには、
……オレのバイクに火のついたタバコを擦り付ける一人の男がいた。
「よお、光輝……」
目の前にいる男が誰かなんて、言われなくたってわかった。
そこにいたのは、俺の実の父親だった。
「……っ、とっ、父さん」
紡ぎ出した声が動揺しているのが、手に取るようにわかった。
顔なんて覚えてない。
それでも、頭に残った記憶と身体の傷跡が、
そこにいるのが誰か伝えていた。
どうしようもない吐き気が、俺を襲った。