帰宅したあと、制服を脱ぐとき、お風呂に入るとき、ご飯をたべるとき、寝るときも、考えていたことは常に同じだった。


脳内のスクリーンに、永遠に上映されているのは、これまで起きた大志くんとのエピソードばかり。壊れた映画館みたい。


しかも同じシーンを繰り返し流したり、ときには大志くんの笑顔だったり、ぐっときた仕草のズーム映像だったりが流れてくるものだから、顔がだらしなくニヤけてしょうがない。


家族の前でそんな表情はできないと、表情筋にチカラを入れてなんとかやり過ごし、自室にこもってからは我慢することをやめた。


ベッドにダイブして、足をバタつかせた。
悶々としたような胸のざわめき、叫びたくなるような爆発的な感情に、まるで自分が自分ではないみたい。


なんだこれ……全部、恋の症状ってやつ?
私、病んでいるのか……?恋に。あれ、恋って病むものだっけ?落ちるものじゃなかったかい?


誰に問いかけているのかわからない疑問。誰に問いかければ、答えが返ってくるのか誰か教えて欲しい。


ああ、もう、今日は眠れそうにないや……。



***



次の日、目覚めてからまたすぐに大志くんのことを思い出した。これはもう本格的にやばいやつだ。


こんなに好きな人を中心に世界って、まわるもの?

こんなに劇的に変わる?
おとといの私といまの私とじゃ、天と地の差がある。


恋をしたら、こんなに変わるんだ。知らなかった。はじめて、恋をしたから。