俺がこんなに好きなのは、お前だけ。



濡れた顔面もそのままに、自分の顔をまじまじと見た。
可愛らしく、でも確かに小走りで動きまわる身体のど真ん中にある私の心臓。

ぽかぽかと熱をもった得体の知れない感情と、だらしなく緩みそうになる頬。

それらをいっきに誤魔化すように私は再び顔を冷たい水で洗った。


家を出て、電車に揺れる身体。スマホで友達のSNSへの書き込みを眺めるように見ながら過ごすのが日課だ。

美味しそうなデザートや、綺麗な景色の写真と共に書き込まれた内容をなんとなく読んでいく。私も、昨日撮っておいた写真を寝る前にアップロードしていた。

その書き込みに他校の友だちからコメントがあった。


【美味しそう〜!誰と行ったの?まさかの彼氏だったり?】

【まさか!彼氏どころか好きな人も__】


返信を書き込みながら、一度止まる。だけど"いないよ"と最後まで打ち込んで、返信を終えた。

呼吸をするだけなのに、1秒1秒が長い。なんでなんだろう。

脳裏に焼き付いて離れないのは、見慣れないあの人の笑った顔。こんなの変だ。ほんと。どうかしている。

目的の駅に到着して、降りた。鼻から抜ける空気も、昨日と今日では違うように感じる。

なんでなのかは、本当にわからない。

目に映る色彩も鮮やかで、ワントーン明るくなったような気がする。



「おはよー」

「はよ」



軽快な挨拶が飛び交う教室内。その中でも朝から一番盛り上がっていて、賑やかな場所の中心に今日もあいつがいる。