バンバンと音がなり、次にドアか蹴破られる。そして、フードを被った数名が現れた。

「……お待ちしてました」

「見つけましたよ。反逆の魔女ティアニカ」

フードの一人が、ティアナへと歩み寄る。声からして男性だろう。

「言っておきますが、貴女は今まで見逃されていただけです。けれども、貴女の師匠が貴女を捕らえよと命じました。貴女の死ぬ日が、今日だからです」

「………」

「処刑場にご同行願います。……ああ、貴女が盗んだ物はどこにありますか?」

男の質問に、ティアナは笑ってみせる。

「ああ。アレのことね……とっくに燃やしちゃったわ。だって必要ないもの」

「……」

「そんなことより、早く私を捕まえたらどうなの?どうせ、村の人達の承諾は得たんでしょう?」

ここは村から少し離れた森。村人はティアナとレインを恐れてあまり近寄らないが、病気に関してはティアナに勝るものはいないので、薬を貰いにやってくる者はいる。

そして、まだ夕方になる少し前。騒ぎがあれば誰かしら来る筈なのに、誰も来ない。

つまりは、そういうことだ。

「ええ。村人達は快く貴女を差し出してくれるみたいですから。……ああ、そう言えば妹がいたんでしたっけ。村人達が、その子も引き取ってほしいと言ってましたけど」

「!……さぁ?誰かと間違えてるのかもしれないわ」

「そうですよね。だって、貴女には妹さんはいない。貴女の一族は根絶やしにしたんですから」

男の言葉に、ティアナは手をグッと握る。

「貴女が逃げた後、見せしめとして火炙りにしたんですけど、貴女にも見せたかったな」

楽しそうに笑いを堪える男に、ティアナは唇を噛み締めた。血の味が口の中に広がる。

けれども、ティアナはすぐに笑みを浮かべた。

「さぁ、お話はそれくらいにしましょう?私はもう逃げないわ」

「……連れていけ!」

フードの男は後ろにいた数名に命令すると、ティアナは大人しく縄に縛られる。

すると、クックレオが飛び出してきた。

「ガアガア!ガァー!!」

「何だ!?こいつ!」

バサバサと翼を動かし、ティアナの腕を縛る男を突っつく。

「止めなさい!クックレオ!」

ティアナの声に、クックレオはピタリと動きを止めた。