「はい?」
 

龍生さんは笑満のことを、そう呼ぶ。


「遙音のことだが」


「……はい」


「娘ちゃんの家族は、あいつのことを認められるのか?」


「――――――」



 

笑満が言葉に詰まると、私が口を挟む前に龍生さんが片手をあげた。


「すまねえ。意地悪い質問だったな。気にしないでくれ」


「……いえ」
 

笑満は少しだけ視線を落とした。


……気にするな、とは言われても、忘れてくれという言い方はされなかった。


「……遙音くんと付き合ってること、あたしがお父さんやお母さんに言えていないのは、本当のことですから」


「二人では、どうするか、とか話してんのか?」


「……言い出せていません」