『龍生は味覚いいからね。調味料の割合とかまでわかっちゃうんだ。咲桜の絶対音感の味覚バージョンみたいなものかなあ』
 

ということだ。最終的には流夜くんにあげるのが目的なので、流夜くんに味見役をしてもらうのは難だ。
 

それが。
 

はちがつ ついたち。『ほづみ』さんという苗字もある日付だ。ちなみに四月一日で、『わたぬき』さんもいるそうだ。
 

いや、そういうことではない。
 

知らなかったことが問題だ。
 

なんで……そんな大事な日を……訊いておかなかったの……。
 

カウンターに手をついて項垂れた。
 

―――のも、三秒ほど。


「笑満! 誕生日といえば何⁉」


「丸投げかよー」
 

勢いよく振り返ると、頼が机にだれていた。