両手を握り合わせながら、その瞬間を待っていた。
 

目の前にはカウンターの奥の龍生さん。


私の隣には笑満。笑満も真剣な顔で龍生さんの手元を見ている。
 

龍生さんは、お皿の上からスプーンを口元に運ぶ。


「――――」
 

私の緊張はピークだ。


「お、うめえじゃねえか」


「「ほんとですか⁉」」
 

私も笑満も身を乗り出していた。


後ろのデスク席にいる頼からパシャリと音がした。


「笑満くらいは美味いって信じてやれよー」
 

ぼやいた頼に、笑満はキッと振り返る。


「あんた咲桜のお菓子スキルのなさをなめないでよ!」


「笑満、非道いよー」


「いや、真実だよ」
 

認めたのは私だった。