朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】



「何と言うか……笑満の隣に遙音先輩がいるのは悔しかったんだけど、頼の隣に女の子がいたら、ああよかったなあ、ということを思うなーと思いました」
 

おばあちゃんか。こっそり思った。


「その延長線? かな。頼は友達だけど一応男子で、私はよくつるんでて、でも流夜くんの傍にそんな仲のいい女の子がいたら……例えば絆さんとかに、私は妬いてしまうな、と思いました。絶対」


「絆は俺のこと敵視しかしてないぞ? それに――」
 

くい、と顎に指をかけて上向かせた。


「俺みたいな変なのと仲いい女なんて、咲桜ぐらいのもんだ。安心しろ」


「……安心します」


「うん」
 

絆とは仲がいいわけではないし、ほかに近しい女性もいない。


俺に一番近い『女性』自体が、咲桜だ。


「日義のことも気にするな。一応、自信はあるし」