「さっき、絆さん言ってたけど――」


「ん?」


「……私が卒業したら、ほんとに攫ってくださいね?」


「―――」
 

流夜くんが固まって、三秒後ハンドルに額を押し付けた。


「……なんでこんななんだ……」


「え、まずかった? まさか盗聴器でもあるっ?」


「いや、そういうんじゃなくて。………。――んじゃ、今から攫われる覚悟、しときなさい」


「はい」
 

大きく肯くと、流夜くんは口を歪めて私の髪を撫でた。