「そうなの⁉」


「じゃないと無駄にするだろう」


「えーと……」
 

確かに、と肯けるけど……。


「咲桜はこの辺りを片田舎とかいうけど、山ん中で育った俺らからしたら十分街中だよ」


「……そうなの?」


「まあ、あっちで使ったの鉈(なた)とかだけどな」


「包丁と鉈では随分違うと思うよ⁉」
 

どんだけワイルドライフだよ。


「そうか……。なら、鉈を使った料理とかなら出来るかもしれないな」


「野外でしてください! 家の中で鉈は禁止!」


何、新発見! みたいないい顔をする。


それに、それって銃刀法大丈夫なのかな。


でも鉈は農耕器具? だからいいのかな。


「――なあ咲桜。今日何があった?」


「え? 今日ですか?」


「朝から遙音が様子おかしくてな。何か知ってるか?」


「………」
 

カチ。私はフライパンをかけていたコンロの火を消した。