ダンッ!


「ちょ⁉ その振り下ろし方は何⁉」


「え? 肉の斬り方ってこうじゃないのか?」
 

まな板の上の豚肉に包丁を振り下ろした流夜くんは不思議そうな顔をする。


私は顔から血の気が引くのを感じた。


こんな包丁さばき見たことないよ!


「漢字が違う気がするよ⁉ 包丁は頭の上から振り下ろすものじゃないはず!」


「や、こうやるってじいさんに教わったんだけど」
 

じいさんて、龍生さんのおじいさん……? 私は唾を呑み込んで訊く。


「な、何を料理してたの?」


「こうやって鶏の首落としたり……」


「ニワトリの首⁉」
 

落とすの⁉
 

流夜くんは「ああ」と続ける。


「天龍では、じいさんが鶏飼ってたんだ。卵もらうためにな。卵うまなくなった鶏とかは、肉にして食うんだよ」