「咲桜?」


「こんばんは。今日は出張してきました」
 

今日も華取の家へお邪魔しようと、ついでに吹雪のところへ持って行くものを揃えていたら、うちへ咲桜がやってきた。


「今そっちへ行こうと思ってたんだが……」


「たまにはいいじゃないですか。こっちのキッチンも使わないとさびれちゃうし」


「それはそうだけど……」


「食べたいものとかある? ちょっと作り置きもしとくね」


「ああ……」
 

部屋に入れて、首を傾げる。
 

日義から助言を受けているから邪推してしまっているのだろうか。


なんとなく、いつもと咲桜の様子が違う気がする……。


「咲桜?」


「うん?」


「いや――」
 

包丁持って振り向かれた。キラリと細光を放った。


………。


「何すればいい?」


「お仕事してて大丈夫だよ?」


「いや、今は」
 

咲桜に背を向けておくのが、なんとなく違う感じだった。