「……そういうときはね?」
 

遙音くんの肩に手をかけて、頬に唇を寄せた。軽く音が鳴る。


「それでも傍にいて、て言えばいいよ。あたしは遙音くんがゆるしてくれる限り、傍にいたいって思ってるから」
 

すぐ離れると、遙音くんは口を真一文字に結んで呆気にとられたような顔をしていた。


こういうことだって、度胸があってお姉さん系美人の咲桜がやればカッコもつくのだろうけど……自分では、こうやって背伸びをしないと遙音くんには届かない。
 

声を大きく叫ぶより、囁ける近さにいたい。


「――笑満ちゃん」


「は、はい」


「笑満ちゃんを護る場所を、ずっと俺にください」


「―――え……?」
 

遙音くんは更に左手を重ねた。