「……本当言うとね? 笑満ちゃん、咲桜のことがすきだから、俺のこともすきでいてくれたのかなって、思う時があんだ」


「―――」


「これは言うつもりなかったんだけど……―――


「ばか」
 

平坦な声で言われて、俺がうつむけていた顔をあげると同時に、頬に柔らかい熱が触れた。


………え。


「咲桜は、あたしの憧れる姿、ではあるよ。咲桜みたいに強くなりたいって。あんな風に凛然と生きたいって。でも、遙音くんはそうじゃない。遙音くんはその――……ずっと、一緒にいたい人だよ。遙音くんみたいになりたい、より、遙音くんが安心出来る場所になりたいって、思う」


「―――」


「だからね、あたしが咲桜に言う王子様って、男の人扱いじゃないから。お姫様でもいんだけど、咲桜はカッコよさが勝ってるから、王子様って言ってるだけ。……でも、遙音くんがそれがいやだったら、あたしの天使って言う」


「………」
 

て、天使……。


こっちが引くくらい咲桜大すきだな、笑満ちゃんは。


でも、俺のことをそういう風に思ってくれるのは、素直に嬉しい。


「……攫ったついでに、もう一個意地悪いこと訊いてもいい?」