「うん」


「―――」
 

俺の応答に、笑満ちゃんは愕然とした表情になってしまった。


……ちゃんと、話すね。


「咲桜を王子様扱い、したよね?」


「―――……え?」
 

咲桜を? 笑満ちゃんの声と表情には、戸惑いがありありと見える。


「は、遙音くんも咲桜を男扱いするなって、そういうこと?」


「そうでもあるけど、ちょっと違うかな」

 
笑満ちゃんの右手を絡め取った。


「笑満ちゃんに、俺以外に男がいるのは、嫌だ」


「え……男って、咲桜のこと……? 咲桜は女の子だよ?」


「うん、それはわかってんだけど――。ごめん、お願いだから咲桜のこと、そういう風に言うのやめてほしい」
 

あー、すっげえ情けないこと言ってる……。


神宮に触発されて本当に攫ってきてしまったけど、笑満ちゃんを怒らせないかも心配だった。


これで引っぱたかれたりしたら立ち直れない……。