「あの……」


「ん?」


「そっち向いちゃ駄目ですか?」


「いいけど? 逃げないなら」


「……ごめんなさい」
 

私が折れた。
 

夕飯を終えて、流夜くんにとっつかまった。
 

抱きかかえられてソファへ一直線。


混乱している間にいつものごとく抱えられて座る格好。


うちだと無性に恥ずかしさが増すのはなんでだ。


「大丈夫なの? 吹雪さんのとこ……」


「切羽詰ったことはないからな、今は。在義さんが帰って来るまではいるつもり」
 

いつものごとく横抱きにされているので、真正面から流夜くんを見ているわけではない。


見たいけど見たら自分ツブれるのわかっているので目線は彷徨う。
 

流夜くんはそれも心得て――計算済みで――いるのか、終始楽しそうだ。


「……私がもっと小さかったらよかったのに……」