ふいっと視線が私に向いた。


「制服? 藤城の……まさか神宮、あんた攫ってきたんじゃないでしょうね⁉」
 

キッと絆さんが流夜くんを睨み上げる。


しまった! 制服のまま来ちゃったんだった! ええと、これは何て言えばぁああああ


「川に沈めるぞてめえ。生徒だけど、お前もよく知る人の娘」


「あ、か、華取咲桜、です! はじめまして!」
 

流夜くんにそう言われたのにも背中を押されて勢いよくお辞儀すると、絆さんから震える声が聞こえた。


「華取って……もしかして在義様の娘さん⁉」
 

………。
 

在義、さま? 


謎の呼び方に、一旦思考停止しちゃったよ。


「そうだよ。その関係で遅くなったから送ってくとこだった。そしたらお前らが喧嘩しててうるせーから回収に来いって龍さんが連絡してきたから寄った」
 

そういうわけ、と流夜くんが言うと、絆さんは真摯な眼差しをこちらに向けて来た。


「そう――さおさん?」


「は、はい!」
 

絆さんは、私よりは背が低いけれど、その堂々たる態度、気迫を感じる。