「ん。そんな遠くじゃない。けど歩ける距離ではないな。……別に変装とかしなくていいからな? ちょっと特殊な場所だから」


「特殊?」
 

な場所ってどんなだ?


「そう。あとは当日の楽しみにしておけ。――話変わるけど、咲桜は天龍に行きたいとか、思うか?」
 

ドキッと、心臓が跳ねた。


「えー、と……」
 

カタン、と箸と茶碗を置く。


なんだか居住まいを正して話すべきことの気がして。


「流夜くんが育ったところ、は見てみたい。んだけど、……在義父さんを、その……追い出したところ? って言うのは、なんかあんまりやだ」
 

そこまで言ってはっと手を振った。


「あ、やだって言っても絶対行きたくないってわけではなく! なんかこう、心の準備が必要っていう感じで! 私その辺りまだまだで――」


「わかった。じゃ、結婚したら行くのはどうだ?」