「……めんどくせ、こいつ」


「ああ⁉ お前じゃねえんなら誰だよ! 春芽でも雲居でもねんだろ⁉ っつーかなんで誰も教えてくんねえんだよ!」


「そもそも知ってる人間が少ないから、か?」
 

……宮寺の答えは真面目だった。
 

真剣に考えている。
 

頭を抱えて絶叫した。


「くっそ! こいつが神宮みてーに人間失格だったらもっとけしかけんのに!」


「少し落ち着け? 神宮そこまで落ちてないだろ」


「あいつは一度地獄まで落ちてっからいんだよ。ああー気になる!」


「神宮に教えてもらえるように頑張ればいいんじゃないか?」


「………そうやってもう何年だろうな……」
 

何年か前に、その存在を知った。


犯罪学者・神宮の相棒と言われる奴。
 

その正体を俺は知らない。


雲居や春芽を訊ねても、二宮さんに訊いても、「自分で探せ」と言われて終わりだった。