「喧嘩終わるまで臨時休店つって引っ込んだ。営業妨害とかいう概念がないのか、あいつらは」


「――聞こえてるわよ春芽神宮!」
 

途端、流夜くんと吹雪さんが「やべ」という顔をした。


割かし隠すでもない音量で話していたら絆さんに気づかれたみたいだ。


「絆、いい加減返事くれって」


「あんたの不埒が治ったらね! 春芽神宮、何面白がってんのよ!」
 

厳しい声だった。


降渡さんに一喝で返し、今度は腕を組んで背の高い二人を見上げる。

 
か、カッコいい……! 


何故か私は感動していた。


「絆ちゃん、いい加減結婚したら? 僕もさすがに降渡が可哀想になってきたよ」


「可哀想ならあんたが結婚してやればいいじゃない」


「んー、それは嫌だなあ」


「あたしもそうよ」


「でも絆ちゃん、降渡のこと好きでしょ?」


「そ……れは……」
 

もごもごもご。絆さんは少しだけ頬を赤らめて口を濁した。


「……ん? その子は?」