「これは……?」
華取さんは眉を寄せる。
「俺の勝手な判断で検査にかけました。法医学見分を担当した大学のデータベースから、取得しました。窃盗行為で捕まっても構いません」
それだけの覚悟をもって、この情報を手にすることを決意した。
正義のためではない。たった一人、敵いたいと思った友人のために。
何かを察したのか、華取さんの顔が強張る。
「正直これは……これこそは、俺は隠しておくべきだと思っています」
「………」
華取さんは無言で封を開けた。
「二十五年前――神宮一家殺人事件の、唯一採取された容疑者のものと思われるDNAです」
END.
第五話『愛してる。だから、さようなら』に続く。



