朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】



……愉快な過去もあったものだ。


雲居の言うように顔の筋肉一つ動かすのも珍しかった神宮が、今では恋人にふにゃけたカオしてダダ甘い。


学校で見たあいつが未だに信じられんよ。
 

……しかし今、封筒の中が現実だった。
 

華取さんはそれを受け取り、開いた。


見る間に華取さんの顔から色が消える。


「……残念ながら――と言うのが相応しいかわかりませんが、華取さんの依頼の結果は、それです」


「………確証は?」


「八十七パーセントです」


「……これを調べたのは、宮司くんだけかい?」


「はい。一人でやったために時間がかかりました」
 

すみません、と謝った。
 

華取さんは書類を伏せるように置いた。


「では、この検査結果は抹消してほしい」


――え――抹消――⁉


「っ、華取さん、それは――」