ドアを開けると予想済みの反応。


イラッとしたように眉を寄せて、窓辺に腰かけて本を読んでいた神宮が睨んで来た。


足元に積みあがった本の量。……臆するな、俺。


「頼みがあるんだ。神宮の研究がしたい。髪と血をくれ」
 

手を差し出した俺は即・雲居に回収された。


廊下の隅に放られて、声をひそめるように怒られた。


「バカッ! ストレートすぎだけど言いかたがどこかおかしい! どこが間違ってるって言えないけど絶対間違ってる!」


「え、だって二人が余計なこと言わずに要件だけ言えって……」


「言ったけど! 見てみろ、普段カオ筋一つ変えないりゅうが顔引きつらせてるし、総てを冷笑に伏して終わりにするふゆまでドン引きしたカオじゃねえか! むしろお前天才レベルだわ!」


「あ、ありがとう」


「褒めてねえよ! このままじゃ俺らと違ってりゅうの検体もらえずに帰ることになんぞ?」