……咲桜の絶対の安心の様子が見えるからだろうか。


咲桜の希望を裏切りたくない、という思いはある。


「どうするかな……」
 

この前は布団まで運んでも起きなかったから、今日もそうしても大丈夫だろう。


ここまで安全認定されたら手をどうのなんて些末(さまつ)なことと思えてしまう。


……大事にしたいんだ。
 

このままここにいようか。


咲桜のぬくもりと、幸せを確かにした場所で。


ソファで寝こけるの、俺は日常だからいいけど……。


「……もう少し、見ててもいいかな……」
 

中学で陸上競技をやっていたからか、咲桜の肌は真っ白ではなく元気な色だ。


柔らかい頬は愛らしい。


「……ずっと、愛しててもいいかな?」
 

ふにゃっと、咲桜の顔が動いた。応(いら)えのように。


「……うん」
 

来年も、その次も――。
 

この時間を、一緒に。
 

そっと、咲桜の左薬指にキスを落とした。