「お誕生日、おめでとう、流夜くん。大すきだよ」
 

俺の肩に手を載せて、もう一度、咲桜はプレゼントくれた。


俺の好きな、華のような笑みと一緒に。


「……ありがとう、咲桜」
 

咲桜の大事な名前を、呼んだ。
 





ぐっすり、寝てしまった。


むしろぐーすか寝ている咲桜だ。


左腕に両腕を巻き付けている咲桜を見て、笑ってしまった。


最初のときと全く同じ光景だ。
 

頬にかかる髪を払ってやる。


絹のような黒髪。柔らかくて、触るのもすきだ。


「けどなあ……」
 

思わずぼやいてしまう。


在義さんからの脅しがあったとはいえ、半ば流れに任せる気もあった。


咲桜のヘンな解釈も聞いてこうなることはわかっていたけど。


「この状況で、よく」
 

安心して眠っている。
 

自分も咲桜に手を出さないでいられる。