「りゅーやくんってなんでそんなに優しい」
「……初めて言われる評価だな、それ」
――流夜くんが他人に対して冷たいとか、冷酷になりきれるとか、降渡さんや吹雪さんから、今までの評判は聞いている。
でも、それを真実とは思えないほど流夜くんは優しい。
というかだだ甘い。
「………」
「あの、ね?」
「うん?」
流夜くんの腕の中で身じろいで、顔をあげた。
軽く胸を押して、腕(かいな)から逃げる。
そのまま流夜くんに向いて正座した。
「あの……前に、言ってた、その……恋人の、ね?」
「うん」
何かもの凄く恥ずかしい。でも、ちゃんと言って置かないと。
「あの、歴史の勉強を、教科書以外にしまして」



