朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】



「りゅーやくんってなんでそんなに優しい」


「……初めて言われる評価だな、それ」
 

――流夜くんが他人に対して冷たいとか、冷酷になりきれるとか、降渡さんや吹雪さんから、今までの評判は聞いている。


でも、それを真実とは思えないほど流夜くんは優しい。


というかだだ甘い。


「………」


「あの、ね?」


「うん?」
 

流夜くんの腕の中で身じろいで、顔をあげた。


軽く胸を押して、腕(かいな)から逃げる。


そのまま流夜くんに向いて正座した。


「あの……前に、言ってた、その……恋人の、ね?」


「うん」
 

何かもの凄く恥ずかしい。でも、ちゃんと言って置かないと。


「あの、歴史の勉強を、教科書以外にしまして」