朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】



私から、そう願った。


声は恥ずかしさに揺れる。


流夜くんは刹那目を見開いたけど、「喜んで」と請けた。
 

流夜くんの左手が咲桜の左手を取って、咲桜の左手の薬指に指輪が通される。


煌めく指輪。
 

結婚する人だけがゆるされる、特別な場所。


「うれしー……」
 

指輪の通った左手を、右手で包むように抱きしめる。


流夜くんと結婚の約束をした、証拠。


指輪を抱きしめる私ごと、流夜くんが抱き寄せた。


「まだ不自由させてごめんな……」


「ううん……自分で、望んだことだから」
 

ぽふっと大きな胸に額を預ける。
 

叶えてくれるのは、この人だけ。