流夜の手から、ボックスから外された指輪が渡される。
両手で包むように眺めると、それを流夜くんが嬉しそうに見ている。
「――えっ、でも前にこれもらったばかりだよ?」
首元にはネックレスが煌めいている。
「まあそうなんだけど、これは……魔除け」
「魔除け⁉ どこかに梵字でも彫ってあるの⁉」
これって神具⁉ 違う違う、と流夜くんは苦笑した。正しくはムシ除けかもしれない、と呟きつつ、私の掌から指輪を取る。
「結婚を、咲桜に申し込んだ証拠、かな」
「………」
それって、いわゆる……
「婚約……?」
「指輪、かな」
流夜くんが悪戯気に笑う。婚約指輪。
またカーッと頬が熱くなった。ええと、ええと……。
「……はめて、くれますか?」



