「約束のしるし、目に見えるものでつけてもいいか?」
「え? うん?」
意図がわからずいると、流夜は楽しそうにテーブルの下から小さな袋を取り出した。
「藤城だったら、学内でつけてても大丈夫だから……出来るだけ、つけていてほしい」
「―――」
言って、流夜が取り出したのは――
「ゆび、わ……」
「うん。咲桜の誕生日は……教師の役得で知ってたから、今日渡すつもりで準備してた。こういう束縛が嫌じゃなかったら、つけていてくれないか?」
流夜くんの片手の平の中の、小さな箱。
そこには細身のシンプルなラインの指輪。
中央に石が載っている。きらきらしている……。
「見ても、いい?」
「どうぞ。咲桜のだよ」



