朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】



「約束のしるし、目に見えるものでつけてもいいか?」


「え? うん?」
 

意図がわからずいると、流夜は楽しそうにテーブルの下から小さな袋を取り出した。


「藤城だったら、学内でつけてても大丈夫だから……出来るだけ、つけていてほしい」


「―――」
 

言って、流夜が取り出したのは――


「ゆび、わ……」


「うん。咲桜の誕生日は……教師の役得で知ってたから、今日渡すつもりで準備してた。こういう束縛が嫌じゃなかったら、つけていてくれないか?」
 

流夜くんの片手の平の中の、小さな箱。


そこには細身のシンプルなラインの指輪。


中央に石が載っている。きらきらしている……。


「見ても、いい?」


「どうぞ。咲桜のだよ」