「……さく?」


「これで! 大丈夫なので!」


「……これで?」


「こんだけくっつけばもう全部回復したから!」


「……新しい言い訳だな」


「主咲くんが年中恥ずかしいことするからでしょう⁉ ちゅーとかしなくても治ったよ!」


「それは単にそういう風に触れたいだけだ」


「! だからそういうこと言わないで! ちょっと手ぇ繋ぐだけでも私の傷治るし主咲くんだって治るんでしょ⁉」


「さくと俺はそういう風に出来てるからな。――だが、俺の回復はまだのようだな」


「―――え?」


「仕事が山積みだ。手伝ってくれ」


「―――――」
 

主咲くんの表情は相変わらずだ。


けど、その黒曜の瞳の光の色、強さを、わかる距離にいる。


この国に一人でやってきたときから、ずっと。