「お前の『ごめんなさい』『もうしません』は全く当てにならんな? 俺が聞くのは何百回目だ? ん?」
「ごふぇんにゃさい~」
頬を摘ままれて半分泣きかけた。
本当を言うなら千回単位かもしれない。
「――ま、俺が治すからいいんだけどな」
「ふぇ?」
ぶにぶにされていたのが止まり、主咲くんの黒曜の瞳を見返す。
無表情の中の瞳に、真っ直ぐに私が映っていた。
「さくの傷の治療はどうすればいい?」
「………」
「言わないと治せないぞ?」
「………」
「ん?」
「―――」
だきっ。
主咲くんの羽織を摑んで、思いっきり抱き付いた。
今までにしたことのない反応に、主咲くんは刹那止まってしまった。



