更に渋面になるしかない。


「……咲桜と接触させたくなかったんだよ。まさか咲桜があいつに巻き込まれるなんて絶対嫌だから」


「りゅうと関わっちまってる時点で似たようなもんじゃね?」
 

立場は同じく犯罪学者だから。
 

俺は昏い目を降渡に向ける。


「……俺はマフィア潰しや企業潰しは趣味じゃねえ」


「……お前らほんとアメリカ(向こう)で何やってたんだよ」
 

何度訊いたかわからない台詞。俺の答えはいつも同じだ。


「あのバカの後始末」


「………」
 

降渡、閉口。


「んー、斎月姫の領分はりゅうとは違うかー」


確かに確かに。降渡は腕を組んで肯いた。


「ま、在義さんや龍さんにシメられんのはいつものことじゃん。心折られないように気をつけよーぜ」


「………ああ」
 

がんばるしかない。


これも咲桜と一緒にいるため。