「そ。一度見たものは全部頭ん中入ってる。医学から法律から何まで。もしかしたらサヴァンなんじゃないかなーって思うよ。俺らもそれ口伝(くでん)で聞いてたから、小学校の分校入るまで本読んだことなかった」


「そうなんですか⁉ それって入学してから大変じゃなかったですか?」
 

サヴァン――いるんだ、本当に。三度瞬いた。


「本を読む、っつー行為に慣れるまではね。でもそれクリアしたら、書いてあるのは全部知ってることだったから、教師からかって楽しんだなあ」


「降渡だけな」


「………」
 

問題児の原因は育ての親だったのか。
 

………あれ?


「あの……さっきおじいさんのこと、『ねこやなぎ』って言いました? 龍生さんのおじいさんなんですよね?」
 

見返すと、流夜くんが答えた。