「………」
 

珍しく絆の照れ顔が見られた。


いつもだったら半眼で「はあ?」とか言われるのに。


やっぱりりゅうの結婚という単語が現実に影響を与えたか。


「そ、そうね、兄弟みたいなものなのよね」
 

絆はさっと視線を逸らして早口に言った。


「そう言うのは俺だけだけどなー」
 

……少なくとも、りゅうが俺たちをそう呼んだことはない。


呼ぶことがないこともわかっている。


りゅうにとっての『きょうだい』は、俺たちじゃない。


「大和斎月(やまと いつき)……」


「え? なに?」


「んーや。なんでもね。つーわけで、りゅうの結婚には反対しないこと、約束な?」


「……わかったわよ」


「仕事、まだ大丈夫なのか?」


「昼休憩の範囲内よ」


「そっか」


「……今日は言わないのね?」