「何それすごい。じゃあ咲桜ちゃんの方は解決してるの? あんたの方は……」


「どっちもどっちでねー。咲桜ちゃんの原因も俺の誘因も、もう死んじゃってるからね」


「……降渡」


「うん。誰がつけたんだろうね、その名前」
 

俺に親はいない。いないからこそ龍さんに引き取られ、天龍のじじいの許で育った。


「父親が最低のクズで母親は生まれたときからいなくて、借金に首廻らなくなって、廻らなくなった首吊って死んじまって、俺はそれを見つけて――って、さすがに咲桜ちゃんには話せないよなあ」
 

独り言ちるような俺の喋り方に、絆は顔を歪めている。
 

出逢ったのは桜庭学園高等部。絆は、中学は公立で、外部入試で入って来た。
 

俺はすぐに絆に目をつけられた。


校則であるネクタイをしていなかったからだ。