「流夜だったら適度な甘さ、より少し抑えた方がいいだろう」


「だったらグラニュー糖の代わりに―――」
 

職員会議のため授業が半日で終わった月曜日、笑満とまた《白》を訪れていた。
 

流夜くんに作るケーキを決めるため、幼い頃から知り、自身の実家に流夜くんを引き取った経緯のある龍生さんの細かい助言を得るためだ。


『流夜くんなら咲桜が作ったものなら文句はつけないよ』と笑満が言っていたけど、何分私はお菓子スキルゼロなので、細部まで決めてから作りたかった。


料理のように目分量をしては味が崩れることもあるらしいから。


「あれ、いー匂い。何作ってるの?」


「吹雪さん」
 

今日は昏めの色合いのスーツの吹雪さんがやってきた。


どんな色を来ても似合うな、この人は。
 

龍生さんに、「遅めの昼休憩ですよ。サボってません」と言い訳していた。


「流夜くんの誕生日に、ケーキ作ろうと思いまして」
 

カウンターの中にいた私と笑満に向かい合うように、吹雪さんが椅子に腰かけた。


「あ、そっか。そろそろ誕生日だね」


「吹雪さんたちは何するんですか?」