拝啓、ファインダー越しの君の世界へ






30歳になり、周りはみんな結婚して子供産まれて…の連鎖。


「同期で未婚者って言うと、やっぱ私とアンタだけよねー」

締め切り間近の仕事を終わらせ、共にコーヒーを一服するのは同期のアズ。

彼女も私と同じ30歳の独身。


「妹が結婚したからってうちの親なんてお見合い進めて来たからね。」

「アズの妹さん結婚したんだっけ?」

「そうそう。結婚がステータスなわけじゃないのにさー。」

ふうっと2人でため息が溢れる。


「でも、それに比べてアンタはまだマシじゃん!あのイケメン年下同棲くん居るじゃん」


イケメン年下同棲くんとは、香の事。
アズだけには香の成り行きは説明している。


「…まだ、翔太郎くんの事引きずってるの?」

久しぶりにその言葉を聞いて胸の中が騒つく。


森内 翔太郎

16歳から26歳まで付き合っていたあの彼氏。



「別れた原因だって遠距離だから難しいとかでしょ?それだってただの別れる言い訳だったって」


「うーん、あの時に私が結婚して付いて行ったら良かったのかな…」


そんな事ばかり考えれば考えるほど過去に戻ってやり直したいと願ってしまう。


「でも、そんな事してたらあのイケメンくんには出会えなかったんだからね」


「そうだけど…」


今私が翔太郎か香を選べと言われたら私はどちらを選ぶのだろう…。