あの関白…業平という男は絶対に神羅に懸想している――
許さない、と思った。
神羅は自分のものなのだから、その目で撫でることも許さない、と思った。
「おっ、黎様お帰りー。遠野の嬢ちゃん部屋に通しといたぜ!」
「ああ…分かった」
力なく縁側に座って俯いてうなだれているように見える黎の隣に座った牙は、黎が澪と神羅の間で揺れていることに気付いていた。
牙自身もまだ若く伴侶を持たず、情熱的な恋もしたことはなかったが、神羅に何かしらの強い思いを抱いていることは見ていれば分かる。
こうしてひとりの女に執着している黎をはじめて見た牙は、普段よく喋る口を閉じて黎の隣にただ座っていた。
「…数日は来るなと言われた」
「へえ、なんで?」
「嫁が来たことを言ったら…表情がなくなって…誤解を解いて幸せになれみたいなことを言われた」
「ああ…まあ…それはそうだけど…ほんとのことだろ?なんで黎様そんなに落胆してんの?」
「…分からない。最初はもう構うなと言われたんだ。自分は自分で身を守れると。そんなはずはない。あれががしゃどくろや土蜘蛛と対峙した時気丈にしていながらも足や手が震えて怖がっていたのを俺は見たんだ」
――つまり放っておけない。
回りくどい言い方をしながらも、黎が神羅を守りたいと思っている強い思いが伝わってきた牙は、白くなる程握られている拳をぽんぽんと叩いた。
「…あれと目が合うと、恥ずかしそうに視線を逸らすのが艶やかで…触れると吐息を漏らして耐えているのが可愛らしくて…俺は…」
「…好きなんだな、女帝が」
――ああ、そうだ。
もうこの感情から逃げ隠れできない。
神羅を守りたいと思う。
神羅を、傍に置きたい。
その意味は――
「俺は、神羅に惚れている」
自覚して、俯いて額を押さえた。
許さない、と思った。
神羅は自分のものなのだから、その目で撫でることも許さない、と思った。
「おっ、黎様お帰りー。遠野の嬢ちゃん部屋に通しといたぜ!」
「ああ…分かった」
力なく縁側に座って俯いてうなだれているように見える黎の隣に座った牙は、黎が澪と神羅の間で揺れていることに気付いていた。
牙自身もまだ若く伴侶を持たず、情熱的な恋もしたことはなかったが、神羅に何かしらの強い思いを抱いていることは見ていれば分かる。
こうしてひとりの女に執着している黎をはじめて見た牙は、普段よく喋る口を閉じて黎の隣にただ座っていた。
「…数日は来るなと言われた」
「へえ、なんで?」
「嫁が来たことを言ったら…表情がなくなって…誤解を解いて幸せになれみたいなことを言われた」
「ああ…まあ…それはそうだけど…ほんとのことだろ?なんで黎様そんなに落胆してんの?」
「…分からない。最初はもう構うなと言われたんだ。自分は自分で身を守れると。そんなはずはない。あれががしゃどくろや土蜘蛛と対峙した時気丈にしていながらも足や手が震えて怖がっていたのを俺は見たんだ」
――つまり放っておけない。
回りくどい言い方をしながらも、黎が神羅を守りたいと思っている強い思いが伝わってきた牙は、白くなる程握られている拳をぽんぽんと叩いた。
「…あれと目が合うと、恥ずかしそうに視線を逸らすのが艶やかで…触れると吐息を漏らして耐えているのが可愛らしくて…俺は…」
「…好きなんだな、女帝が」
――ああ、そうだ。
もうこの感情から逃げ隠れできない。
神羅を守りたいと思う。
神羅を、傍に置きたい。
その意味は――
「俺は、神羅に惚れている」
自覚して、俯いて額を押さえた。

