千一夜物語

黎の前で着替える――?

もう裸は何度も見られてはいるが、こんなに面と向かって堂々と‟見る”宣言をされると恥ずかしくなって浴衣を胸にかき抱いた。


「見るつもりなのですか!?後ろを見ていて!」


「俺のものなんだから見たっていいじゃないか。ほら早く着替えろ」


頑として言うことを聞かない黎に焦りながらも、以前黎が‟顔も身体も好みな女を狙う”と言われたことがあったのを思い出した神羅は、少しの間もじもじして黎に背中を向けて座り直した。


「おい、それじゃ見えな…」


「これで我慢して!これが限界なの!」


――いつもの敬語がなくなって普通の娘のように話した神羅に眉を上げた黎は、神羅が少し肩の力を抜いたのかと思うと若干嬉しくなって、神官衣を脱いで上半身裸になったその肢体を腕を組んで眺めた。


背中もとても華奢で白くて美しく、きゅっと締まった腰がなんとも色っぽくて、袖を通そうと腕を上げた神羅の身体に腕を回して抱き寄せた。


「あっ、ちょ…やめて!黎!」


「敬語をやめたのか。そっちの方がいい」


「ま、まだ着替えてないから…っ」


「着ない方がいい。お前の素肌を触っていたい」


腕を交差して胸を隠している神羅の顔が真っ赤になっていて、その純情さが伝染してしまった黎はやや顔を赤くしながら、胸を見られまいと必死な神羅をぎゅうっと抱きしめてそのまま寝転んだ。

黎に覆い被さる形になってしまった神羅はもう恥ずかしさで消えてしまいたいと思いつつも、手を添えた黎の素肌の胸が熱く、強く鼓動を打っていて、耳をあててその音を聞いた。


「お主にも…人と同じ位置に心臓があるのね…」


「多少強くできているだけで、身体の構造は人と変わらない。お前の身体…柔らかくて温かくて…気持ちいいな」


うとうととし始めた黎が神羅の髪に指を潜らせて限りなく優しい手つきで撫でた。


この時が永遠であってほしい――

止まらない想いに戸惑いながらも、どこまでも堕ちてゆく――