昼に出発して夕刻に鬼ヶ島についた黎たち一向は、鋭く尖った巨岩がそそり立つ島に降り立って待っていた音羅たちに歓迎された。
「お初にお目にかかります、音羅と申します。この度は…」
「文を見た。ゆっくり話したいんだが」
「どうぞこちらへ。ささやかですが宴の席を設けさせて頂きました」
赤い巨体の音羅は首が痛くなる程見上げなければならない巨体で、歩けばずしんずしんと音がした。
大抵は皆巨体なためもちろん案内された家も途方もなく天井が高く、獣の革をなめした敷物の上に座った黎は、正座して身を縮めている音羅から説明を受けて躊躇なく頷いた。
「分かった、退治してやる。最近俺たち妖と人の間にある境界線を越えようとする者が多い。人の側にその考えを持つ者が居ることは知らなかった。悪いが殺しはしないぞ。二度とこの島へ来れぬよう恐怖を植え付ける」
「私たちも人と戦うことは本意ではありません。黎様、どうかお願いいたします」
黎はなんら作戦を練っていなかった。
殺さず恐怖を植え付ける――これはもう圧倒的武力でもって制圧するしかない。
玉藻の前は幻術が得意で、牙はその鋭い爪や牙を振るうのが得意で、各々が各々の得意なもので戦えばいい。
遠野では油断してしまったが、今度こそは油断はしない。
「恐らく早朝やって来るだろう。お前たち、朝方の戦闘になるが大丈夫か」
「平気平気!俺は本来の姿で戦うぜ」
「黎様、わたくしは妖術を使って惑わせます。その隙に…」
「隙も何も奴らが目に追えない速さで斬り付ける。お前たち手加減を忘れるな」
本来は黎も好戦的ではあるが、それより冷静さが少し上回っているだけ。
音羅たちが作っている五臓六腑に染み渡る強い酒を飲みながら、悲鳴を上げる人たちを想像してくつくつ笑った。
「お初にお目にかかります、音羅と申します。この度は…」
「文を見た。ゆっくり話したいんだが」
「どうぞこちらへ。ささやかですが宴の席を設けさせて頂きました」
赤い巨体の音羅は首が痛くなる程見上げなければならない巨体で、歩けばずしんずしんと音がした。
大抵は皆巨体なためもちろん案内された家も途方もなく天井が高く、獣の革をなめした敷物の上に座った黎は、正座して身を縮めている音羅から説明を受けて躊躇なく頷いた。
「分かった、退治してやる。最近俺たち妖と人の間にある境界線を越えようとする者が多い。人の側にその考えを持つ者が居ることは知らなかった。悪いが殺しはしないぞ。二度とこの島へ来れぬよう恐怖を植え付ける」
「私たちも人と戦うことは本意ではありません。黎様、どうかお願いいたします」
黎はなんら作戦を練っていなかった。
殺さず恐怖を植え付ける――これはもう圧倒的武力でもって制圧するしかない。
玉藻の前は幻術が得意で、牙はその鋭い爪や牙を振るうのが得意で、各々が各々の得意なもので戦えばいい。
遠野では油断してしまったが、今度こそは油断はしない。
「恐らく早朝やって来るだろう。お前たち、朝方の戦闘になるが大丈夫か」
「平気平気!俺は本来の姿で戦うぜ」
「黎様、わたくしは妖術を使って惑わせます。その隙に…」
「隙も何も奴らが目に追えない速さで斬り付ける。お前たち手加減を忘れるな」
本来は黎も好戦的ではあるが、それより冷静さが少し上回っているだけ。
音羅たちが作っている五臓六腑に染み渡る強い酒を飲みながら、悲鳴を上げる人たちを想像してくつくつ笑った。

